端境期~主人公は幸福になるべきか?~

私はアニメが終わると俄かに不安になる。

それは、来期は素敵な女の子に会えるのだろうか、という不安である。

そこで、この時期は、自作に走る。

何事も自給自足の生活に勝るものは無い。

一つは既に完成しているので、続編を妄想するばかりである。これは、純文学風味である。

電車などでニヤニヤしているときの一割は、この小説に出てくる黒髪の乙女を夢想している。

全く以って危ない人である。死んだ方が良い。

もう一つは美少女ゲーム風味である。こちらはなかなか大変で、まだ序章しか完成していないのである。

何故、大変かというと、美少女ゲームと言うのは通常、複数人の女の子が登場する。

その複数人の女の子にそれぞれ平等に魂を分け与えるのが難しいのである。

こっちに手間をかければあっちが不満顔をし、あっちを構っている間にこっちが死にそうになったりする。

しかし、それはそれで随分と楽しい。

けれど、最大の難関は美少女ゲームの特徴である「ヒロインは主人公を好きになる」というシステムである。

主人公が大変頼りがいのある人物であれば、きっと問題は無いだろう。しかし、主人公がどう贔屓目に見ても頼りない野郎なのである。とてもじゃないが、私の考えた美少女たちを彼に渡すわけにはいかない。

けれども、主人公の性格を考えたのも私自身ではないか。

しかし、不思議なことに主人公に情は湧かない。気が付くと主人公とくっつかないルートばかりが増えている。

もう何故か私の美少女を奪う主人公が無意識の内に憎くて仕方なくなっており、彼にどうか災いが降りかかりますように…などと願っている。

我ながら酷いと一番思ったルートは、主人公がヒロインの父親を殺して警察に捕まってしまうというバッドエンドである。

ヒロインの父親を殺害するに至る経緯はそれなりにあるのだが、全体を俯瞰してみれば、何でここまで主人公が酷い目に遭わなければならないのかよく分からない。

主人公=プレイヤー=結果的に私(誰にも見せるつもりが無いので)なのに、これでは本末転倒である。