車谷長吉

独り言、他者、死ニ場所を探して彷徨う

最近、性愛の本とか読んでいて、最近出版されたラノベとかも読んだりして、どうして人間が人間を好きになるのか?みたいなことを考えていたのですよ。 で、結論としては、相手の中に自分が投影できれば、相手を好きになり、投影できなくなれば、好きでなくな…

夫・車谷長吉

夫・車谷長吉 作者: 高橋順子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/05/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (10件) を見る 詩人で車谷さんの奥さんである高橋順子さんがお書きになった本です。 車谷さんと高橋さんの馴れ初めから、車谷さんが急逝…

贋世捨人 車谷長吉

贋世捨人 (文春文庫) 作者: 車谷長吉 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2007/04 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 22回 この商品を含むブログ (21件) を見る 私が十歳になるかならないかの頃、家族で海に出かけました。海は美しく澄み渡っていて、白い…

「愛」とは仏教用語で「喉の渇き」を意味するらしい

「愛」なども、もとは「喉の渇き」の意であったのだが。 車谷長吉「金輪際」より作家の車谷長吉さんが、お亡くなりになられて、一週間経ちました。5月17日午前8時34分。死因は、食べ物を喉につまらせた窒息でした。おこがましい考えですが、私は、車谷さんの…

飆風 車谷長吉

飆風 (文春文庫) 作者: 車谷長吉 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2009/06/10 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (6件) を見る この本は、19歳の頃に一度読みました。そのときは、ただただ圧倒されました。10年ぶりに、今読み…

河原の石

突然、川に小石を拾いに行きたくなりました。 昔、ネット上で、川に小石を拾いに行く話をしたら、全く知らない人に、その無駄具合が素敵だと褒めてもらえました。 小石を拾いながら、これは誰にあげようとかこれは誰っぽい色だとか質感だとか考えます。 けれ…

物語性

車谷長吉氏の小説には近松門左衛門が言った「虚実皮膜」が鮮やかに反映されている。「私小説」と銘打っていながら、作者の体験そのままを小説にしているのではない。作者によって創作された部分を大いに含む小説なのだ。そもそも、人間(主体となる人間)の…

錯乱するほど生真面目な小説の主人公

また長吉ちゃんの話題である。しかし、今回は長吉ちゃんの書く主人公の話題である。長吉ちゃんの主人公はどうやら皆生真面目らしく、夜、アパートに一人座っていると、得体の知れない生への恐れが立ち上がって来た。り、ついには背中に火がついて走り廻る夢…

赤目四十八瀧心中未遂~映画と原作のアヤちゃん~

ここ最近、私の中で車谷長吉さんがブームです。今日は、『赤目四十八瀧心中未遂』に出てくる「アヤちゃん」についてちょっと考えたことを書いていこうかと思います。アヤちゃんから受けるイメージは原作と映画では少し違う気がします。どちらかというと原作…

やっぱり長吉ちゃんは面白い

やっぱり長吉ちゃんはおもしろいですよ。そして長吉ちゃんの書く主人公は皆格好良いです。ここにはたまにしか書かないですけれど、長吉ちゃんのことを考えない日は無いですよ。だからと言って会いたいとかはまったく思わないです。何故ならエッセイを読むと…

くだらない話~車谷長吉の描く主人公について~

この方の描く主人公の話となれば、色々言いたいことがあってまとまらないのです。ただ、一つ言えるのは、どの主人公の男も男としてこれ以上無いくらいに良い男だということです。「女の六十前がどういう年か知らないが、不意に私は、この女とまぐわいをして…

車谷長吉

氏の全集が出るのだとか。生前に全集を出すのが氏の願いだったようなのでおめでたいことだと思います。けれど、目次を見ますとほとんど全部読んでしまったものばかりだったりします。それは、まあ、当たり前です。単行本や文庫本になったものは端から全て読…

こういう雨の降る寒い日には、昔読んだ本のことを思い出したりします。 その一つをここに、感想を交えながら書いてみたいと思います。 それは、車谷長吉氏の『赤目四十八滝心中未遂』です。 戦後を舞台とした小説は、山間の片田舎に育った私自身には上手く理…