青山二郎 鎌倉文士骨董奇譚 上代の美術

引用


勝手な話だが、私には好きなものが外にある。例えば、茶人が上代のものを用いないのは、生活と結びつかないからだ。仏像だって、少しましな坊主だったら奈良の仏様を持ってきて拝めるだろうか。土器もはにわもあれだけの物で、所有して見れば分るが、部屋に飾っておけるような物ではない。

(中略)

私には好きなものが外にあると言ったが、それも何うでもいゝことだ。私の言ってることなんか出鱈目も甚だしいと思わなければ、美術家だって立つ瀬があるまい。ただ我々は、美人の顔を見たからと言って、一人一人驚いてはいられないだけだ。上代美術のファンは美人を眼る目はあるだろうが、詰り女を知らないのである。


引用終り


二郎さんというのは、骨董が好きな人ではあるが、一生同じ器を愛で続けるというようなことはしなかった人らしい。



毎期、二次元美少女に出会い今度こそ「俺の嫁」だと思うものの、次期にはその嫁のことは忘れて新しい嫁を探しているようなものか…。