死の棘

何かついでに死の棘についても。島尾敏雄さんの代表作です。

自分の浮気によって壊れた妻を根気良くなだめ続ける。とてもじゃないですが、普通の人にはできないことです。

夫の浮気について妻は夫の口から語らせようとします。事実を既に知っているにも関わらず。

私は普通の人の家庭に生まれたので、こんな感じに壊れた妻を捨てて行ってしまう夫というのを目の当たりにし、真実なんてものに言及するのはただ不幸になるだけだと、諦めの人生を送ってきました。嘘を吐かれるのを良しとして、そんな男の人を許してしまうのも、そのせいです。でも、そういうスタンスはきっと病気の元ですし、思想の上での混乱を招きます。時には人を傷つけます。負のスパイラルです。

そんな人生から逃れたい人は、この死の棘を読み、自分の心のあり方を見直した方が良いです。人間には幸いにして、言葉というものがあるので、誤魔化さずに語ってくれる人と向き合うことが大切だなと思います。

それで、何故そうしなきゃならんのかと言うと、世の中で生きている人の大部分の慣習、幸福を感じるポイントが、家庭内の平和というものにあるからです。多くの人の慣習に合わないことをする人は、結局のところ、その人自身が孤独を感じることになります。孤独を感じても幸せに暮らしていけ、周りの人を不幸にしても平気でいられる人ならばそれで良いですけれど。

世の中の慣習が変わり、家庭外の人とも自由に恋愛できる社会が到来すれば、不幸を感じる人は少なくなるのかもしれませんね。