「雪のあかり」「暖炉のあかり」追記 ~世紀末とはどんな時代だったか~

1999年はどんな年だったでしょうか?

個人的には、日本全体でカラ元気の時期だった気がします。最近は、元気を出す余裕すらなくなりましたが…。

マスコミが大きく取り上げていたもので覚えているのは、援助交際をする少女の話題です。色々な人が色々な的はずれなことを言っていましたが、中学生だった私には、あれは恵まれない子供が寂しさゆえに大人に縋っている図に見えていました。バブル期を経た後での不景気で、急激に家庭状況が変化し、両親の不仲、経済的な問題などで経済、精神両面で行き場をなくした子供がたくさんいた気がします。

不景気は世紀末前後でピークを迎えましたが、兆候を肌で感じたのは1995年頃だったと記憶しています。

これは住んでいた地域によっても若干違うと思いますが、一般の人は何となくそのような空気を感じていたのでは無いでしょうか。

援助交際をした世代の子供は、小学校高学年から中学生という多感な時期から常に不安を抱え続け、家庭以外の場所に居場所を求めていたのかなと感じていました。阿呆な選択ではあると思いますが、阿呆の一言で片付けられる問題でも無い気がします。

しかし、一部を除いてマスコミは若者の風俗の乱れだの、切れる17歳だのと喧伝し、問題の本質のすり替えを行いました。

世紀末から2000年に変わるときにテレビの向こうはお祭り騒ぎでした。しかし、2000年問題で多くの企業が対応に追われました。

商店街のシャッターも次々に閉まりました。

消費者金融のCMが深夜帯だけでなく全日になったのもこの頃です。

誰かが「2000年になっても変わらないね…」と呟いたのを覚えています。

また誰かが「昨日が今日になっただけだからね…」と返しました。

そのような時代背景の少し前の話題が9話10話の「雪のあかり」「暖炉のあかり」です。

「雪」「暖炉」というキーワードもマッチ売りの少女を思い出します。

世紀末1999年というのは古き良き時代という訳では無いのです。

目の前にマッチを翳して明るい21世紀はすぐそこだと言っていただけで、本当は暗闇を誤魔化していただけなのです。