本は読めないものだから心配するな③

都会の人通りの多い道を歩いていると、人々が自分の身体を通り抜けていくような妙な感覚に襲われることが間々ある。小説などを読んでいると私が私でなくなるような感覚を味わうが、それと同じことが雑踏の中で起こる。大変気分が悪い。私が本を読めない理由もだいたいこのことに起因する。昨日の私と今日の私が違うことに快感を覚える人が読書や旅に向いている。