JKハルは異世界で娼婦になった

なろう系小説とか異世界ものの読み方を全く知らないのですが、読んでみました。

東京で女子高生をしていたハルが交通事故に巻き込まれて、異世界に行って、そこで娼婦になるしか無いというところから話は始まります。

交通事故に一緒に巻き込まれた同級生の千葉君は、転生の際に神様に気に入られて、チート能力を貰えたので、異世界では勇者という職業でやって行けるのですが、ハルは無愛想にしていたので、能力無しでいきなり異世界に飛ばされたらしいのですね。

彼らのスペックを書いておくと、

小山ハル…女子高生。援交の経験あり。経験人数?10人くらいって言ってるけど、正直嘘っす。

千葉…隠キャ(陰気キャラ)。教室ではハル達のグループに馬鹿にされている。

 

という感じです。千葉君は、異世界ではチート能力持ちの勇者で、金も稼げるので、ハルを買いに来て、こんなところで働いていないで、俺の嫁になれとかそんな感じのことを言う人です。元々、何故、彼も交通事故に巻き込まれたかというと、ハルを守ろうとしたかららしいです。そんな千葉君の優しさをハルはキモいと切り捨て、娼婦を続けます。娼婦を始めたばかりの頃は、客が付かないので、ハルから千葉君に頼んで買って貰っていたにもかかわらず。

娼館で様々な客を取り、店のナンバー○位以内を狙いつつ、異世界の生活に馴染んでいったところで、店の人気ナンバー1の嬢が慰問に訪れた先の軍で、陵辱の限りを尽くされた上で殺されます。

ハルもそのナンバー1の嬢のことが気になっていたので、軍を訪れ、同じように陵辱の限りを尽くされるのですが、死にません。何故なら、異世界から来て、密かに神様にそういう能力を貰っていたからです。

どんな能力かと言うと、寝た男の能力がそのまま自分の能力になるというチート能力です。ハルはその能力を使って生き残り、軍の兵士を皆殺しにして、再び娼館に戻ります。

そして、その後も異世界に馴染んだふりをしながら、自分自身も異世界の人間の喜怒哀楽に成長させてもらったなどと勘違いしながら、そして、自分のチート能力を棚上げしつつ、異世界の男尊女卑な世界に生きるしかない女性達に男女平等という価値観を植え付けながら異世界で生きていくという話です。

この物語の教訓は何か?というと女性は男尊女卑の社会に感謝すべきという事なのだと思います。何故なら、女性であるという事そのものに価値が無ければ、異世界に行った瞬間にハルは死んでいたでしょうから。それなのに、その事自体に感謝する描写は一切無く、あるのは男性に対する不満と仕事に対する愚痴と自分に対するノロケばかりです。仕事が過酷で毎日憂鬱なんて事を千葉君に漏らし、彼の職業をバカにしますが、実際のところ、大した事はされていません。男尊女卑という仕組みがあるからこそ、能力が磨かれ、プロとしてお金が稼げるのです。どうして、それに感謝出来ないのでしょうか?不思議でなりません。そのような浅はかなハルの描写から、作者は男尊女卑と男女平等という思想の間で揺れ動く社会にあぐらをかく娼婦の真似事をしたがる現代女性をあざ笑っているに違いありません。

ハルという女性は娼婦という弱者として最初は描かれますが、実はチート能力のある全ての理を覆す力を持つ言ってみれば聖女です。娼婦という概念すら実は描かれていないのです。聖女ですから、男女平等を無神経に説いても誰にも責められないのです。むしろ、賞賛すらされるでしょう。異世界で娼婦としてしか生きる術のない女性達がハルのような生き方が現実的に可能でしょうか?って、現実ではなく、異世界でしたね。

チート能力なんて持っていない穢れた私達には残酷なお話でした。

 

 

JKハルは異世界で娼婦になった

JKハルは異世界で娼婦になった