筒井康隆 薬菜飯店、法子と雲海

  • 薬菜飯店

薬菜なのか厄災なのかよくわからないのですが、身体に良いとされるものは本当に良いのか良くわからないと思わずにはいられない内容でした。しかし、中国料理を食べに行っただけなのに中華娘に特殊サービスして貰えたのはラッキーだったというか青娘が可愛すぎました。この話は、荒木飛呂彦トニオ・トラサルディーの元ネタらしいです。

 

  • 法子と雲海

夢と虚構の素晴らしさを説く法子様と愉快な仲間達の話です。ある日、法子様が一人の村娘に懸想します。懸想して庵に戻って来ないので、弟子の雲海が探しに行くと法子様は何と村娘の家の戸口で寝起きしていて皆狼狽しているという話ではありませんか。しかし、当の本人は見当たりません。5日後にようやく法子様は戻ってくるのですが、放心状態です。何が起こったのかというと、村娘の夢に住むことに決め、現在進行系でそれを実行しているというので驚きです。というか筒井康隆という人は頭がおかしいのだなとこの時気づきました。何故、法子様が一人の村娘に惚れたかというと法子様の中の女性性にその娘がそっくりだったからではないか、と解釈した弟子の雲海は法子様を現世に取り戻す為に、法子様の夢に闖入し、法子様の目の前で村娘を犯します。これで村娘は法子様の理想では無くなったのだと満足して雲海は夢から覚めます。しかし、法子様はその後、村娘のことには言及しませんでしたし、そもそも法子様は男女の事に関心がないのだ、まして近くの村の小汚い田舎娘が誰に犯されようと知ったことではないのだったと締めくくられます。数日後、村娘と顔を合わせた雲海は思いっきり横っ面を張り倒されるというオチです。

いやはや、夢と虚構というのはかくも素晴らしいのですね。というか筒井康隆の小説は読んだのはこれが初めてですが、こういう方向に頭がおかしいのだとは知りませんでした。

 

 

薬菜飯店 (新潮文庫)

薬菜飯店 (新潮文庫)